某OMからの依頼
本当のオーナーは更に別の方との事
1200MHzのユニットが最初から実装されている790G
定価が309,000円
た、たかい!
今回は”VCOの交換を依頼され交換したけど送信出力が出なくなり
受信感度も相当悪くなった”との事
なんか色々と曰く付きらしい
144の送受チェック
出力は全く出ません
近くに置いてある確認用の無線機から何も聞こえません
キャリアすら作られていない!?
受信は-70dBmを入れてようやく雑音まじり
何とか受信しているようです
430はまぁまぁ健全
1200は出力チョイ低下
周波数ずれが気になるなぁ
過去の修理履歴を聞いた範囲でまとめてみる
1.144のPLLアンロックが発生 (周波数表示が消える)
2.ショップに修理に出す → 144のVCOを交換して返却される
3.半年後にPLLアンロック再発
4.部品取りのTS-790と共に某OMにVCOの移植依頼
5.VCOを移植するが出力が出ない (PLLアンロックは直っている)
6.こちらに転院
他の人につつき回されたのってロクな事が無いんだよね~
変なところまで触ってなければ良いけど
一緒に渡されたものがある
ドナーとしてVCOを摘出された基板と
ショップで交換したVCOおよび元々の故障したVCOだ
左のOKとシールの張ってあるものがショップ交換品 (故障品?)
右は元々ついていたVCO (故障品?)
本当にVCOが壊れているの?
本体を触る前にVCOを確認しておきましょう
一番最初から付いていたVCO
故障しているはずです
シールドケースを開けてみる
意外とシンプル
VCO単体で発振させてみましょう
OUTPUTから何も出てませんね
スペアナで144付近を見ても何もいない
つっついてみましょう
気になるのは発振定数を決めているトリマコンデンサ
オシロを見ながらクリっと回すと~
急に発振しだした!
スペアナでもこの通り
ただ、すごく不安定
トリマを回すと周波数が飛んだり発振が止まったり
こいつが不良ですね~
トリマコン外しました(左)
10pFなのですが丁度いいのが手持ちになかったので表面実装品を付けます
ランドがスルーホールなので綺麗に実装できました
何だか発振レベルが上がっている
(出力電圧が高くなってる)
ついに本体側を分解
この中央の基板が144PLL基板
そしてこいつが問題のVCO
筐体から取り外して
VCO単体で発振させてみる
発振はしているがトリマを回してみると不安定な動作をしている
やっぱり此奴も不良になりかけ
先ほど修理した(もともと付いていた)VCOに交換
なんかこのトリマコンも怪しい
交換しました
筐体に戻して動作確認
出力は低いが送信するようになった!
受信の感度も程々まで改善
ここから先は調整で何とかなるでしょう
調整を進めていますが1200ユニットの調整はメンドクサイ
シールド板が無いとズレるくせに分解しないと調整ポイントにたどり着けない
調整も終わって
144もパワーが出る様になりました
もちろん受信も大丈夫
430も調整しました
ただ、周波数が不安定?
基準発振調整したぞ??
1200も10W以上出ています
やっぱり周波数が不安定
振動で急に周波数が飛ぶ時があります
しかも上のバンドほどズレが大きい
基準発振に問題があるんでしょう
またもや、この基板に逆戻り
基準発振器はこいつ
10.24MHzです
TCXOなんである程度は安定するはずなんですが・・・
これも微調用のトリマコンが不安定なようです
カパッと開けて
さすがに回路図にはTCXOの中身まで書いていません
トリマの容量を測ってみました
凡そ5~30pF
交換しました
組み込んで再調整が必要です
144PLL基板のTP5は基準発振の10逓倍が出てます
しばらく安定するまで放置してから調整
1200で50Hzのズレ
これ以上追いかけてもTCXOのドリフトが大きくて無駄な努力になるだけです
組み立てて完成です
真の原因を突き止めずに中途半端に修理すると堂々巡りにハマる見本ですねぇ
結局交換したVCOも製造されて月日が経ってるんで同じ問題を抱えてるんですね
今回交換した部品
トリマのみ
そして外して余ったVCO
多分壊れてる
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