SINADメータって何?って人も多いでしょう
でも無線機の受信感度は気になるはず
コレは受信感度を測る時に受信品質を数値化する測定器なのです
SINADとは?
Signal to Noise And Distortion ratioの略
(信号+ノイズ+歪) 対 (ノイズ+歪)の比率
受信感度って何をもって受信出来たとするのか、Sメータの振れ?、RSレポート?人によっても聞こえ方は違いますよね
あと、メーカによって値が異なっていたら比較しにくくて困ります
そこで測定方法が規格化されているのです
その中で、おもにFMの受信感度測定で使用される12dB SINAD法
受信機の出力(簡単に言うとスピーカからの音)からすべての音(相手の音声等)とノイズ+歪(目的の音以外)の比が12dB(約4倍差)になった時の高周波入力(アンテナ端子)の値を受信感度とする
SSBやAMは10dB S/N法(信号とノイズの比)で規定されることが多いが10dB程度であればSINAD法で測定しても信号が支配的なため実用的な誤差は小さい
この様に人の耳に替わって信号とノイズを聞き分けその差を数値化してくれる便利な測定機なんですわ
実際は音声を聞き分ける事が出来ないので1kHzの正弦波を信号としそれ以外をノイズ+歪として処理しています
あと、調整の時にも重宝します
信号の強さだけでなく歪とノイズも測っているので実使用上の最適点を見つけやすいのです
前置きが長くなりましたが今回の対象はコレ
修理用の予備機として手に入れていたhelper instruments社のsinadder3
アメリカのメーカで無線機製造用の測定器を作っている
まだこの会社存在してるのかな~ググってみても会社にたどり着けない
ぐるっと全周を目視確認
12V電源端子が破損してますね
100V系なら修理してから動作確認ですがコレは大きな問題は発生しないと思うのでこのまま動作確認します
電源を入れる前にメータの清掃とゼロ調
とりあえず電源は入りました
火花を散らすとか発煙とかないのでテストを続けます
下の測定器は調整用の信号源
ACレベルで1Vレンジにした状態で発振器から1kHz1Vrmsを入れた結果・・約640mV
思いっきりズレてますね
ACレベル・SINAD切り替えボタンに触れると急に1Vを指したり指さなかったり
スイッチの接触不良ですな
次にSINADモードにして発振器から1kHzの正弦波を入れた結果・・-3dB
本来-20dBを下回らないといけない
しかもモニタスピーカから聞こえる音が綺麗な正弦波の音じゃなく凄く濁った音(歪んでる音)
早速ばらして原因追及と行きましょう
何と余裕のある作りなんでしょう(笑
まずは入力信号
発振器からの信号は正弦波です
測定器内部のAGCを通過した後の信号
ここも正弦波でないといけないはずですがすごく歪んでますね
内部で歪が発生しそれを測っているんでしょうね~
回路図を見ながらAGC回路を追っかけていたんですが大幅に回路変更されているようです
すったもんだの末このコンデンサが怪しいと言う結論に・・・
容量測定してみました
1uFのはずが143pF
カッスカスじゃないですか
チューブラコンなんか在庫ないわ!!
って訳で一般的な縦型を実装
まぁ、中身スッカラカンなんで余裕よゆう
AGCの出力波形を確認
綺麗な正弦波になってます
この時のメータ指示は-20dB以下でいい感じ
スイッチの接触不良があるんでフロントパネルをばらしてスイッチ摘出して洗浄
せっかくバラしたのでフロントパネルも洗っておきましょう
結構すすけてますね~
BNCコネクタも交換
組み立てて調整開始です
SINADのノッチフィルタ調整
1kHzの正弦波を入れて指示が最も小さくなる様に
-20dBより小さくならない場合はどこかに問題が残っていると思われます
SINADレベルの調整だけど、こんなの使います
2信号特性パッド
2つの信号をミックスしてくれます、ミキサーじゃないので2トーンになるだけです
これを信号発生器の1chと2chに繋いで1chで基本波2chで疑似高調波を作ってSINADメータに入力
このSINADメータはノッチフィルタで基本波を除去すると言う構成上、基本波とそれ以外の信号の差が少ないと誤差が大きくなります
今回は実使用域 10~12dBで誤差が小さくなる様に調整します
1chは1kHz0dBV、2chは3kHz-12dBV
SINADメータの指示が-12dBを指すように調整
ch2の出力を-10dBVに設定して指示値を確認
次にACレベルモードに切り替え発振器から1kHz1Vrmsを入力して指示値を調整
この機種は抵抗で分圧しているのでレンジごとの調整は出来ません
レンジを切り替えるとばらつくけどそれはご愛敬ってことで
内部発振器の調整
1kHzのはずが盛大にズレてますな
ま、CR発振なんで仕方がないですかね
ぼろっちい電源コードの交換
元々はアース付きの3極プラグだったけど低エネルギー機器って事とフローティングでも使える様にアース無2極のコードに変更
交換後
DCの入力コネクタは手持ちが無かったので部品が手に入ってから交換します
フタを閉めて完成
交換した部品たち
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