今回はこんなのを弄りたいと思います
ICOM 漁業無線 IC-M28
周波数は27MHz帯で56チャンネル
出力は1W
変調方式はDSB
*表記上はDSBですが搬送波ありなので一般的なAMと同じ
周波数範囲は26.76~27.988MHzと広範囲だけど実際は歯抜けにされていて合法CBやFCC CBを避けた設定になっている
今回の目標
不具合個所の修理
・正常に起動しない事がある
・出力低い
・Sメータ重い
遊べる無線機(笑)に改造
・歯抜け部分カバー
・送受信性能を遊ぶ部分(笑)に最適化
起動不良の状態
この様な表示とビープ音が鳴り操作不能
発生頻度はかなり高い
正常に起動できたときに測定
・出力低め
・周波数ずれ少々
修理でフロントパネルまで分解しないといけないので、この汚ったない筐体を洗浄します
洗剤でゴシゴシ洗いたいのでココからさらに基板やフレームも外します
業務で使われていた物なのでかなり汚い
これもガンガン使われた道具なんでしょうね
洗いました
写真で見るとそれほど違わない様に見えますが、実際はかなり綺麗になりました
スッキリ!
起動不良になる一番の原因は・・・
バックアップ電池の消耗
サッサと交換
歯抜け改造
ファームウエアの書き替えなんだけど・・・
今時の機種みたいに
“USBでつないで~
ソフトでぽちっと~”
なんて優雅な方法ではなく
ROM差し替え
これで、こんな表示が出る様に
ただし、4kHzステップなんでFCC CBに対してはZero inできません
ここまでで、ざっと動作するようになったのですが調整をする前に改造しておかなくてはいけないポイントが
この無線機の空中線インピーダンス
75Ω
なんですよ
送信側は一部コンデンサの変更とコイルのピッチ調整
ただ、50⇔75ΩってSWRで言うと1.5なわけでAMPの最高出力を狙う!とか厳しいこと言わなければ無視しても無問題
受信は調整だけで整合取れました
受信ATTについては厳密に言うと抵抗値を変えるべきですが実用上問題がないので無視します
オリジナルの状態ではMコネクタ(*)がこの様に取り付けられています
飛び出し量が少ない+横にネジがあるので相手側のコネクタ形状によってはちゃんと勘合しない場合が・・・
*一般的にMコネクタと呼ばれてますがUHFと呼ばれたりSO239だったりネジピッチが違ったりとユーザーを罠にはめる低周波用(笑)のコネクタです
取り付け場所を変更して汎用性が高くなる様にしました
調整前データ
送信
@13.8V
周波数/合法CB ch/漁業ch:
26.760MHz/—/333ch : 26.75983MHz 0.64W
26.968MHz/1ch/—: 26.96783MHz 0.65W
27.080MHz/4ch/—: 27.07983MHz 0.66W
27.144MHz/8ch/—:27.14383MHz 0.66W
27.988MHz/—/640ch :27.98783MHz 0.68W
周波数偏差:-6ppm 出力偏差:-35%
変調度を測定しました
AF段でコンプレッションをかけていますね
また、アマ機のおまけAMと違いきっちり100%まで変調がかかっています
他の無線機で音声を聞くとクリアで聞きやすい音になっています
受信
70%変調 10dB SINAD
周波数/合法 CB ch/漁業ch
26.760MHz/—/333ch : -117.7dBm
26.968MHz/1ch/— : -117.5dBm
27.080MHz/4ch/— : -117.4dBm
27.144MHz/8ch/— : -117.0dBm
27.988MHz/—/640ch : -116.5dBm
無調整でもかなり高い受信感度です
Sメータ
ドットのすごく荒いメータです
S5:-95dBm
S9:-61dBm
FULL:測定不能
凄く重たいSメータですが過去に触った個体と比べて異常に低感度なので何か問題があるのかもしれません
では、調整しましょう
送信のテストにマイクが必要だったのでカールコードの死んだマイクを利用して作りました
ピン配はコレ
アクセサリー端子に繋ぎます
電源の供給が無いのでダイナミックマイクで作る必要があります
調整後
送信
周波数/合法 CB ch/漁業ch
26.760MHz/—/333ch : 26.968008MHz:1.03W
26.968MHz/1ch/— : 27.080007MHz:1.04W
27.080MHz/4ch/— : 27.144006MHz:1.04W
27.144MHz/8ch/— : 26.760005MHz:1.03W
27.988MHz/—/640ch : 27.988005MHz:1.03W
変調部は触っていません
受信
70%変調 10dB SINAD
周波数/合法 CB ch/漁業ch
26.760MHz/—/333ch : -121.2dBm
26.968MHz/1ch/— : -121.6dBm
27.080MHz/4ch/— : -121.2dBm
27.144MHz/8ch/— : -121.4dBm
27.988MHz/—/640ch : -119.6dBm
かなり受信感度が上がりました
今まで測定したどのCB機よりも受信感度は良いです
設計は古いですが業務機と言う事でかなりコストをかけられる訳なので順当な設計になっていると思われます
Sメータ
S5:-104dBm
S9:-94dBm
FULL:-72dBm
*検出部のD13(ゲルマD)がオープン故障していました
面白い事に調整でスーパー変調にもできます
無変調時/変調時
1.03W/1.86W
この調整をすると他の合法CB機と見分け(聞き分け)が付きにくくなります
偽装工作です<オイ!
交換した部品たち
OTK
ROMの書き換えは難しいのでしょうか?
stlab
古い、UV-EPROM対応のロムライタが必要になります。
ものによっては動作環境を揃えるのが大変です。
*PC-9801が必要だったり