第6弾もIC-275
この機体は、以前に誰かが修理を試みたものの、あきらめた思われるものだ。手元に届いた状態では電源も入らず全く動かない。部品に取りされてなかったのが、せめてもの救い。
IC-275:144MHz帯のオールモード10W機。今回の機体も初期型なのでPBT付
電源が入らないので、この時点では不具合全容が掴めていない。
外装を止めているネジはすべて付いていません。修理途中で、ほったらかした感じ。
懐かしいオレンジのシールがありますね。
メインダイヤルも止まってない・・・
RFユニットも乗っかっているだけで、配線がすべて外されていました。
そりゃ動かん
仮復旧して動作確認。
・送受信しない
・音でない
・エンコーダ動かない/重い
・キーチャタ
・VOL/SQLガリ
・VFO発振していない
・AC電源過電流 (動作不安定)
・バックライト切れ
あと、受信改造されていますね。
そして、めっちゃ汚い。
AC電源の動作不安定は、電源SWが原因の様なので交換。
右が新品
フロントASSYを、洗浄・修理して組み立て。
エンコーダの修理とか、バックライトのLED化などは、以前の修理ブログで書いてるので割愛(笑
ここから、送受信できへん不具合調査なんだけど・・・1か所コネクタ外れてますね。
挿してみると、消費電流が2A程度に跳ね上がるが動作せず。(正常であれば、受信時は1A以下)
このコネクタは、メイン基板に13.8Vを給電するラインも含まれているため、送受信の主要部分が全く動いていなかったと思われる。
今回は触っていないので、過去の修理で外したのかな?
メイン基板13.8V系のラインインピーダンス。
286Ωと流れる電流のわりに高抵抗。
これは、13.8Vラインが悪いのではなく、その下流に問題があると思われる。
13.8V系にぶら下がっている主な回路
・DC-DC
・AF AMP
・8V REG
・RX8V
・TX8V
メイン基板のチェック
目視で異常は見つけられず・・・
色々探すと、8V REGの下流が短絡している。
短絡している部品をを探したら、まさかの電解コン。
ルビコンの100uF/10V
見た目に膨張や液漏れの様な不具合の兆候は見られない。
*電解コンはオープンモードで故障する事が多く、短絡モードになるには過電圧や逆接等の大きなストレスがかかった場合が多い。
今回の様に、見た目が正常で短絡は珍しい。
メイン基板の短絡が直り、音がでる様になりましたが、いまだに送受信不能。
PLLユニットからの、1st LO出力をオシロでチェック
144.00MHz
何も出ていません。
143.98MHz
受信周波数がアマチュア周波数から逸脱すると
出力し始める。IC-275はアマチュアバンドとバンド外でVFOを切り替えているため、この様な動作になると考えられる。
アマチュアバンド用のVCOはココ
この状態で動作させながら調べたけど、いまいち判らず。
PLL基板をひっくり返してチェック
たぶん、ここも過去の修理で触られていますね。
DDSユニットを付け直したのか半田ボールがいっぱい。
*除去しました
そして原因はまたこいつ、短絡していました。
しかも、同じ容量耐圧。
これは、この部品固有の何かがありそうだ。
IC-275には同じコンデンサが5つ使われており、すべて外してチェック(そして交換)
短絡していないコンデンサの容量とtanδを測定
そんなに劣化していない・・・と言うか古いのに、かなり優秀じゃない?
このコンデンサは、一般的な電解コンの劣化モードではない故障モードを持っているのかも知れませんな。
これで、1st LOも無事に出力され始めました。
かるく組み立てて動作確認。送受信するようになっています。ここから先は、調整しながら各所チェックですね。
調整のために、PAユニットを開けてみると、懐かしいモノがくっついてる。
スワロー誘電の内蔵プリアンプだ!(流行ったね~)
でも、今回はオリジナルに戻すので外しておきましょう。
ここからは、怒涛の調整なんだけど、
つまんないんで、今回も割愛
調整後、組み立てて完成
ACでの動作も正常。
PFC入って無いから力率はボロボロ(笑
交換した部品たち。
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