今回の個体は、受信はするものの送信はしないとの話でやってきた。実際の所は、送受信とも不能で、受信は雑音のみが出ている状態であった。さらに調査を進めると、送信出力過多で、AMは復調も出来ないことが分かった。また、メインエンコーダは重くスリップが発生していた。
今回も修理以外に、性能向上改造を行う。
その3は、その2に続きIC-575D。今回は、初期型のPBTモデルとなる。
後期でPBT機能が省かれたのは、特許を有していたケンウッドから訴えられたため実装できなくなってしまい、DATA LEVELに変更されてしまったとの話である。
この個体は、ロゴが新icomでPBT付と言う、最もレア(?)な機体では無いだろうか。
”受信はするが送信はしない”との話で、送信(PTT・XMIT押下)をしても、送信状態を示す赤ランプは点灯しない。
何でも、遅延回路が組み込まれていたようで、改造や復旧に失敗しているかもしれないとの話もあった。
色々触っていると、メインエンコーダに滑りがあることが判明。全域で滑るわけではないが、回転に対し周波数の変化がスムースではない。
そして、時々逆転する。
*LED化でフロントASSYを分解するので、その時に修理しましょう。
”受信はする”との話であったが、受信もダメなため、分解して調査を行う事とする。
すでに、色々いじられている様で、穴が開いていたりネジが舐めていたりする。
遅延回路を付けるためなのか、PTTとXMITが共通化してある。ここは元に戻しておこう。
不具合個所の調査を開始。
送受信ともダメなので、見る所は局発。
まずは、1st LO
出ていませんね。
次に、2nd LO
こっちも出ていませんね。
1st・2nd共に信号を作っているのは、PLLユニットなので、そこを攻めましょう。
PLLユニットの電源周りから。
電源は3系統あって、13.8V→8V→5Vとなります。
13.8Vと8V系は、赤丸の辺りをチェックします。
チェックするのは2か所。
赤丸:13.8V系
黄丸:8V系
8V系が出ていませんでした。
8Vは、13.8Vを元に作られていて、橙丸のあたりにレギュレータがあります。
基板の裏(半田面)から、レギュレータを見ていますが、半田不良はありません。また、入力には13.8Vがかかっており、レギュレータ自体が不良の様です。
レギュレータは78M05で、8V 500mAです。
78M08が無かったので、電流容量の大きな7808(1A)を取り付けます。
取り付けて、仮組。
1st、2nd LOとも、信号が得られました。
これで、送受信できるようになるはずなので、動作確認をしていきたいと思います。
送受信し始めたのですが出力過多。DH相当の100Wには、内部のSWで簡単に上げられるのですが、それ以上出したかったのかAPC周りの調整が触られていました。
でも、これは再調整で戻ると思われます。
いろいろ触っていると、AMの受信音が出ない事に気づきました。信号を入れても、Sメータは振るのですが音が出ません。
原因を探すと、AM復調用のゲルマニウムダイオード(赤丸のD55(1K60))が、OPENになっていました。交換!
次に、メインエンコーダの修理。
飛びや滑りが発生する原因は、2か所。
一つは、スリット板の歪みや破損。
一つは、LEDやPT(フォトトランジスタ)の劣化。
いきなり分解した写真ですが、光学式エンコーダは、この様なスリットの入った回転子と位相のずらされた固定子で構成されています。
この、個体は、固定子側のスリット板が曲がっています。
これにより、正しく位相差が発生していないと思われます。
歪んでいる為か、擦れた跡があります。
固定子側のスリット板は、ネジで固定されているので、緩めて曲がりの無い様に取り付け直します。
正しく取り付けると、この様に少し隙間が出来ます。
次に、LEDとPTの交換。
修理パーツセットを使用しますが、部品ディスコンにより在庫希少です。
*現在、一般販売はしていません。
正対させながらLEDとPTを取り付けます。
グリスを新しい物に交換し、組み立てて完成。
ここまで来たら、組み立てて怒涛の調整。
調整とか組み立ては面白くないので、以下省略w
今回、交換した部品たち。
まーまー故障個所があったおかげで、ブログ的には面白くなったかな?
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