アルインコ DJ-X100 受信改造 & 分解

posted in: 分解レポ, 受信機 | 2

先日発売された、アルインコ・デジタルマルチモード受信機DJ-X100を受信改造&分解していきたいと思います。

スペックなどは、メーカHPを見てもらうとして・・・
受信範囲が30~470MHzと言う最近の受信機としては狭い。デジタルモードに特化すると言う事でHF帯は切り捨てたのだろう。アナログ復調はAM/FMしか対応しておらず、HFを聞くには心許ない。*F/Wで復調モードが追加される可能性はある。

狭い受信範囲もJマークの自主規制でさらに歯抜けにされているので、受信改造してみるのは意味があります。

いきなり分解。
ベルトクリップを外すと7本のネジが見えてくるので外します。

フロントパネルと、リアが分離する。
フレキで繋がっているので注意して開けましょう。

フレキを外して方が、あと作業は楽になるけど少々挿し難いので刺したまま改造するのも手。

受信改造

写真の通り。
歯抜けが無くなり下限が20MHz~になるので、いまだにAMが使われている市民ラジオや漁業が聞こえるようになる。

改造に成功すると。
受信機情報の項に

RX EXTND

と表示されるようになる。

さらに、秘話コードの自動解読が出来ると思うんだけど、現状発見に至らず。


推測では、受信改造後にコマンド入力で機能拡張。
多分こんな感じだと・・・
キーロック

ある順序でキーを押下

キーロックが解除される

機能拡張

成功した人がいたら教えて!

拡張機能解析できました。

改造に成功するとT61(TYPE1~4)とdPMRが追加されます。また、秘話コードの解析機能や反転秘話解読機能も追加されます。

*細かい部分まで精査していないので、他に機能追加があるかも!

230502追記

*ここにだけ改造のヒントを記しておきます。*質問不可
3dを01に変更

受信感度の測定

全域で-120dBmを下回っており受信感度は良い。
メーカのカタログ口上である”ほぼフラットな帯域”は実現できているのではないかな。

*75~110MHzは強制的にWFMに切り替わるので除外

モードごとの受信感度と、DJ-X11との比較。
復調はDSPが担っているため、モードが変わっても周波数特性は似た感じ。

DJ-X11は周波数特性が暴れるので、僅差の所があったり大きく悪い所があったりする。
*X11は広帯域だから仕方がない面もある・・・

分解

受信改造でここまでは開ける事もあると思うけど、もう少しバラしてみましょう。

この時点でCPU基板とRF基板の一部が見えている。

CPU基板裏

真ん中にルネサスのRX65NファミリのCPU。
主に、全体を制御していると考えられる。

CPU上の小さいシールドはGNSS受信部

右のシールドは開けていないけど、接続から液晶コントローラか?

RF基板との接続コネクタの周りに0Ω抵抗(無駄な抵抗ww)がみっちり。
試作段階でノイズ問題が出てきたら、チップフェライトでも載せるつもりったんだろうな。

CPU基板を外したらシールドの載ったRF基板。

SMAとエンコーダの間に見えるのがGNSSアンテナ

RF基板表

一番目立っているのはAMBEボコーダ、DVSIのAMBE-3000R。DSPで処理しなかったのは、速度なのか消費電力なのかライセンスの問題なのか?

一か所(コネクタ下)に、何か部品が実装できそうな空き地があるけど、何を載せるつもりだったのだろうか・・・? もしかして、派生機種の構想があるのか??

Bluetoothを載せるつもりだった?

RF基板にある空き地だけど、パターンから推測すると、何か通信モジュールを載せる事ができそうだ。受信機としての使い勝手を考えると、Bluetoothが良いよね~。なぜ、実現しなかったのだろうか?
コスト?技適?入手性?

技適的に完結しているモジュールを搭載しない場合は、製品として技適を取らなくてはいけなくなるからかな?
*基板を見る限りでは、通信部とアンテナが分離しているので、アルインコが技適を取得する必要がある

230506追記

2nd IFのxtalフィルタ。
型番から帯域が15kHzしかないと推測される。これは、DSPの解析ウインドになるので、アップデートで対応出来る機能拡張の枷になると思われ・・・

RF基板裏面

一番上にFMラジオ帯受信用の1チップIC BK1068
帯域幅15kHzのフィルタを積んでFMラジオに対応させる苦肉の策!?

下に見えるのは、DSP tiのTMS320C5517。復調の中核を担っていると思われる。

そして、基板を取り外した背面筐体。
シールド類が一切なく、放熱の心配もないので樹脂筐体。
これは、基板だけである程度のEMC(電磁両立性)が担保出来ている為と考えられる。(たまに、シールドテープべたべたの製品も見かけるけど何だかなぁって思ってしまう)

ただ、アンテナシステムとして考えると圧倒的にアース(ラジアル)不足になっていると思う。外部アンテナを使う分には、先出の受信感度の良さがいかんなく発揮されるが、ハンディホイップだと十分な特性が得られないのではないか?

ナテックのラジアル付ハンディアンテナなんかを使った方が良さそうだ。
参考url
http://www.natec-j.com/antenna/hs3000a.htm?c=amaantenna&d=handy

総評

秘話解析が出来ていない(230426現在)のは残念だけど、構造に”なんでやねん!”と思う所も少なく、物の作りとしては良く出来ているのではないか? 特に、1st Lotにもかかわらず手直しの痕跡が無いのは凄い。
残念なのは、解析ウインドウが狭く広帯域な処理が出来ない。(例えばIC705の様なリアルタイムバンドスコープは無理)
*ただし、回路にバイパスを作ってあったらこの限りではないが、今のところ見つけられていない。
今後も、F/Wのアップデートなどで改良が進むと思われるので楽しみである。

*230502 秘話解析改造成功。質問不可。

2 Responses

  1. ポコタン

    コメント失礼します。トランシーバーを製造している業者が秘話コードを漏らすような機能を付けるとは思えませんがシーバーを使ってる業者からクレームが来そうな気が

    • stlab

      技術は追っかけっこです。追いつかれたら、また進むだけ。
      それを、規制や倫理などと言う体のいい言葉で止めてしまったら、どうなるか明確です。

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